アントン・チェーホフの短編『ロスチャイルドのバイオリン』

見開き左側にチェーホフの短編、右側にイリーナ・ザトゥロフスカヤの絵が描かれた本。
40余点の絵画で再現されたチェーホフ珠玉の短篇世界
子供向きの絵とは言えない、その意味では世界でも稀な真正の大人の絵本と言える。
しかし、子供はより多くを感じ、受容するに違いない。
つまり素朴な感性を保つ人、8歳から80歳までの子供の為の絵本と言える。
ページを開けば名状し難い神韻を帯びた空間が広がり、バイオリンの旋律が嫋々と流れるのを聴くに違いない。

チェーホフは小説よりも戯曲のほうが有名なので、
彼の四大戯曲『かもめ』『三人姉妹』『ワーニャ伯父さん』『桜の園』は知ってるが
小説の作品名は一つも知らない。。。

_SL500_

ヤーコフは棺桶作りを生業としているが、この村の人々は皆長生きするため
商売は全く繁盛せず、かなり貧しい暮らしをしていた。
副業として彼はユダヤ人のオケでヴァイオリンを演奏もしていた。
しかし、そこのユダヤ人メンバーがどうにも好かない。
彼とのいざこざで、オケにも呼ばれなくなる。となるとさらに収入は減り、貧しさも増す。

そんな折、彼の妻が病で亡くなる。
彼はこの52年間、妻に何もしてあげることはなかった。
それを機に彼は過去を省みた。
人生は虚しく、何の満足も得られないまま過ぎ去ってしまった。
ひとつまみの嗅ぎたばこ程の値打ちもなく、無駄に終わってしまった。
この先は何もなく振り返ってみても、ぞっとするほど恐ろしい損失以外何もないのだ。
そして自分を見つめなおした。
なんの必要があってユダヤ人を脅し、いやというほど辱めたのだろうか?
人々はなぜ互いに生きる邪魔ばかりし合うのだろうか?
そのためにどれだけ損をすることだろうか?
どんなに虚しく恐ろしい人生の損失であることか!
もし憎しみや悪意がなかったら・・・
何かが変わった彼に今度は死が訪れる。しかし人生を損失ばかり、死ぬことに利益があると思う彼は死ぬことは全く怖くない。ただ1点気になるのは、ヴァイオリンである。自分が死んだらこのヴァイオリンはどうなるのか?
バイオリンを持って墓に入ることはできない
バイオリンは全く孤独に取り残されてしまう。


というわけで続きはどうぞこちらを。
残念ながら青空文庫にもこの作品は無かった。。


朗読を聴くというのもありかもしれません。
かなり良い感じの朗読です。
30分もないので通勤中やら、ベッドの中でどうぞ。

■朗読 チェーホフ『ロスチャイルドのバイオリン』




■歌劇『ロスチャイルドのバイオリン』

このチェーホフの作品は ヴェニアミーン・フレーイシュマンという
ショスタコーヴィチの愛弟子により歌劇作品として試みられた模様。
が彼は第二次大戦で死に、作品が完成されることはなかった。

でもそこはさすが師匠であるショスタコーヴィチ
ショスタコーヴィチは才能ある学生の死を惜しんで、攻略中のレニングラードからフレーイシュマンの自筆譜を救い出し、1943年から翌1944年にかけて、その補筆・完成とオーケストレーションの作業を進めて行った。ショスタコーヴィチは総譜に、完成の日付を1944年2月5日と記入している。その後にショスタコーヴィチは1968年、このオペラが出版・上演されるようにした。

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