このフレーズを知ってる人は多いでしょう。それが何のフレーズかを知らなくても。

フランソワーズ・サガンの作品名です。
『さよならをもう一度』(Goodbye Again)というタイトルで映画化もされてます。

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サガンの作品で一番有名なのは『悲しみよこんにちは』ですが
こちらの作品名を逆にしたタイトルを、宇多田ヒカルは使ってます。

クリス:『Goodbye Happiness』なんですが、ずいぶん意味深なタイトルですよね。
宇多田:そう?(笑)これ仮タイトルなんだったけな。仮タイトル覚えてないな。あっ最初これクリスマスソングにしようと思ってつくりだしたんだっけな。それがぜんぜん違うのになっちゃった…。
クリス:なるほどね。でもね『グッバイ・ロンリネス』が『グッバイ・ハピネス』になったってことで、これは歌詞を吟味していただければわかるんじゃないかということですよね。
宇多田:まあ、サガンの『悲しみよこんにちは』の逆なんだけどね(笑)。

http://www.j-wave.co.jp/original/tokiohot100/guest_past/past_20101121.htm

■Goodbye Happiness



サガンの作品は絶版が多いです。
 『ジョゼと虎と魚たち』のジョゼという名は、サガンの『一年ののち』『すばらしい雲』『失われた横顔』三作に出てくる登場人物です。この三作は既に絶版で、この本を探させるという話が『ジョゼと虎と魚たち』にも出てきます。

同じく絶版の作品の中に
『時おりヴァイオリンが・・・・・・』というものがあります。
amazonで検索しても出て来ません。。
そもそも日本語でググっても情報がかなり少ないです。

ある老人の妻となって遺産を狙うシャルロットとその情人アントワーヌ。だが、死後開封された遺言状は老人の若い甥レオポールに当てられていた・・・。地方の優雅なサロンで演じられる、物欲につかれた男女の無欲な若者の虚々実々の共同生活をとおして、天衣無縫な青年の純心さに動揺し、はからずも幻の愛の虜となってしまう美しい中年女の微妙な心理を見事にとらえた戯曲。

ちなみに話中に「ヴァイオリン」という言葉は一度しか出て来ません。
ヴァイオリンが関係するシーンも1度のみです。
「時おり」どころではないです。。。。
tokiori

以下、文庫の解説を引用します。
 相手との真実のつながりを求めようとする・・・そのような真実のつながりなどは信じられない。・・・全世紀にブルジョワたちが作り上げたヒューマニズム、つまり、真実とか幸福とか愛の神話は、今日のブルジョワにとっては、子供っぽいお題目に過ぎない。では何がこうした人々の生の支えとなっているのだろうか。真実も幸福も愛も、この世界では葉巻やぶどう酒のように、あるいはふかぶかとしたソファーの座り心地や街角から流れてくるヴァイオリンの音色のように、全て感覚的快楽に帰せられる。そればかりか、不道徳や裏切りや憎しみまでが、快感をつのらせるための薬味として扱われるのである。感受性ばかりが研ぎ澄まされた人々が、知性を感覚的快楽を求めるためだけに駆使して、相手をも自分をも騙し続けていく。
 しかも物質的安楽の中で、するどかった感覚もいつかは鈍ってくる。倦怠が襲い、やがては否応なしに老醜が忍び込んでくる。感覚だけが頼りだった登場人物たちは、ともすれば落ち込みそうな虚無と無感動から逃れようとして、底の知れたゲームを繰り返す。
そんな時、純粋とか、善意とか、愛とかいったもの、つまりは汚れてしまった感覚をもう一度洗い清めてくれるかもしれないものに、ふとノスタルジアを抱くことになる。それまでさんざん馬鹿にしてきて、今でもとても信じられないことに、藁をもつかむつもりで、つい手を差し伸べてしまう。これは全く矛盾している。
 だが、サガンの戯曲のモメントは、多くこの矛盾の瞬間にある。無分別で、愚鈍で、馬鹿正直だが、とにかく新鮮だという魅力を持った青年が、中年をすぎて麻痺しかかった感覚の中に、一条の残光を投げかけるのがテーマとなっている。

サガンの書籍のほとんどを翻訳しているのは朝吹登水子とその娘・朝吹由紀子。
※『時おりヴァイオリンが』は違うけど。。

昨年芥川賞を受賞した朝吹真理子は親族です。

朝吹真理子の『きことわ』は僕にとってはそこまでヒットしませんでしたが
朝吹真理子自身はヒットしました。

通勤時間にたまに聴くのに丁度いいポッドキャストとして
『ラジオ版学問ノススメ』があります。
著名人へのインタビュー番組。ゲストは学者や作家が多いです。

■ラジオ版学問ノススメ

学校では教えてくれない、教わったけれど忘れてしまった!ことを授業より楽しく学べる、ラジオ版課外授業プログラム「学問ノススメ」のスペシャルエディション です。
各分野に精通するエキスパート(講師)を迎えて、疑問・難問を楽しく分かりやすく解説・解決していきます。
ここでの朝吹真理子の話を聴いて、かなり好きになりました。





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